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刑法分野

「罪と罰の法」を学問する

加藤 正明先生

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罪と罰の法

人を殺したらどうなりますか?と質問すると、皆さんは「刑務所に入れられる」とか、あるいは「死刑になる」と答えることでしょう。どうしてそうなるのかと質問すると、「悪いことをしたからです」、と。どこの国にも、犯罪をしたら刑罰を科すという法律があり、それによって、犯罪をした人には刑罰が科されます。これが刑法です。刑法199条には、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と書いてあります。では、どういう場合に「人を殺した」ことになるのでしょうか?「人を殺す」とはどういうことでしょうか?このように、刑法の条文に書いてある言葉を解釈するのが、法律学としての刑法学です。

犯罪=悪いこと?

何だ、そんなこと国語辞典で「殺人」という言葉を調べれば分かるじゃないか。と、思う人もいるかもしれません。でも、例えば、池で見ず知らずの人が溺れているところに通りがかったとして、意地の悪いあなたは助けもせずに、その人が溺れ死ぬのを見物していたとします。悪いことをしていますね。では、あなたは「人を見殺しにするのも殺人だ」ということで、処罰されるかというと、そうはなりません。でも、父親が池で溺れているわが子を見殺しにしたら、殺人罪で処罰されます。つまり、法律等に出てくる言葉の意味は、国語辞典を引くだけではわからないことがあるのです。

「答えの出ない問い」を問うことを学ぶ

そもそも、刑法にとって「悪いこと」とはどういうことでしょうか?これは簡単なようで実は難問です。「人として間違っていることだ」と答える人もいれば、「この社会で『やってはいけない』とされていることだ」と答える人もいます。この問いは、「決着がつかない」という意味で、「答えの出ない問い」ですが、この問いにどう答えるかで、刑法に書いてある言葉の意味が違って解釈されることがあるのです。学問の本質は結論にあるのではなく、それを導くために立てられる問いにあります。刑法学も学問です。さあ、罪と罰の法について「答えの出ない問い」を問うことを学びましょう。

教えてくれた先生

加藤 正明先生

担当分野:刑法

専門分野:刑事法学(キーワード:因果帰属、相当因果関係、客観的予測可能性)

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